ネズミのなわばりとラットサイン
ネズミの縄張り
縄張りは動物などにとっては生活上、必要不可欠となる勢力範囲です。ネズミも社会集団をなして生活しているわけですので、それまで親のテリトリーで守られていた子ネズミは、成熟すると、新天地を求めて、ほかに移動し、そこで自分たちの食物を確保するために一定の縄張りを設定し、その勢力範囲内で巣をつくり、安定した生活をするのです。
したがって自分たちの縄張りにもしほかのネズミが侵入すると、身をもって防御し駆逐します。
そしてこの縄張りの周囲にさらに広い行動圏があり、餌を探して徘徊しますが、ここでは他のネズミとの争いはあってもの縄張り内ほど、激しくありません。ドブネズミの行動圏は一般に150〜200メートルですが、大都市のように常に大量の餌が得られるようなところでは行動圏は小さくて済みます。
ネズミは自分の縄張り内に、隠れ家と繁殖のために巣を作りますが、巣の材料としてやわらかい紙、ぼろ布、綿などを細かくちぎって用います。
そして特性上、クマネズミは柵板の上やダクトの上、はりなど高所の乾いた場所に、ドブネズミは厨房や下水溝など低い水気の多いところに巣を作ります。
そしてこの巣から餌を求めて行動するわけですが、実は彼らの巣から餌場に向かい、変えるルート、そして行動範囲や行動時間は、大体一定しています。
例えばクマネズミはパイプ、ダクト、電線、柱、はりなどを歩き一定のルートとします。これは本能的に警戒心が強く保守的なネズミが外敵から身を守り安全に生活するための知恵なのです。
もし、住みついた縄張り内に、普段と違ったものがあったり、何かいつもと違う状態があれば、きわめて警戒的な行動反応を起こします。例えば彼らの行動ルートに、毒餌を置いても食べませんし、ルートを変更したりもします。このような警戒的な行動反応を異物反応といいます。
ラットサイン、ネズミ駆除の前にまず探そう!
憎きネズミを退治することをネズミ駆除といい、方法はつぎの4つに大きく分けられます。
①建物内にネズミが入れない、または入らないようにする環境的駆除法(防鼠法)
②ネズミを補足して殺す機械的駆除法
③殺鼠剤を用いてネズミを毒殺する化学的駆除法
④いたちやへびなど、ネズミの天敵を用いて駆除する生物的駆除法
しかし、④の生物的駆除法は野ネズミの駆除に適した方法で、ビルや家内でのネズミ駆除方法としては不適です。したがって家ネズミの駆除方法としては①、②、③のどれかと考えればよいでしょう。
すでに建物内に棲みついているネズミを駆除する場合は、必ず前もってネズミの生息場所、生息数、種類、主たる生息範囲などを調査し、そぼ実態を把握することが肝要です。
この実態調査のことを生息調査と言いますが、ネズミの生息調査を十分に行えば「ネズミ駆除は50%終えた」といわれるほど大切なことです。
ネズミが生息している縄張り内では、物をかじったり、糞尿をしたり、通り道を黒く汚したりと跡が残ります。なぜなら、ネズミは保守的な警戒心の強い動物ですから、通りなれたルートはよほどのことがない限り変更せず、毎日同じ場所や通路を通ります。したがって、彼らの通り道やルートは糞が落ちており、尿跡があり、黒光りに汚れていて、特徴のある足跡も見られます。
特に天井近くの柱や、柱とパイプの交差する場所では、渡るときに尾がスイングするために独特の半円形(弓状)になった尾の跡がついています。これすなわち、ネズミの生息証拠ですが、この生息証拠のことをラットサインまたは、ネズミ道といいます。したがってネズミ駆除の前には必ずラットサインを探しましょう。